「子育て世代の住まいを応援」〜県営住宅のリノベーション〜

「子育てしやすい住まいがほしい。ただ家賃が気になる…」
そんな思いを抱える若い夫婦は少なくありません。

住宅価格が上昇し物価高が続く中、子どもを育てる世帯にとって“安心して暮らせる場所”は、大きな関心事です。

こうした現状を踏まえて兵庫県では、子育て世帯や新婚世帯が暮らしやすい環境を整えるため、県営住宅のリノベーション推進や、住宅取得にかかる費用を補助するなど、住まいをめぐる支援を多角的に展開中です。

実際にリノベーションされた西宮北口の県営住宅を訪問し、県の担当者にお話をうかがいました。

兵庫県 まちづくり部 公営住宅管理課・岩井さん

——リノベーションされた県営住宅は、どのエリアにどれくらいある?

「神戸、西宮、尼崎などの阪神間を中心に、宝塚、伊丹、明石、加古川、姫路など県内各地の県営住宅でリノベーションを進めています。築20年以上経過していて約60㎡以上の空き住戸を対象に、この2年間で170戸近くを改修しました(2025年12月時点)」 

県営住宅「西宮北口高層住宅」の外観 

阪急・西宮北口駅や西宮ガーデンズも近いロケーション

——リノベーションの考え方は?

「間仕切りを取り払ってLDKを広げ、明るく開放的な居住空間にしています。キッチンにいながら子どもの様子が見えるなど、家事と育児が両立できることを大切にしています。
また、壁や柱の角を取る加工など、子どもの安全面にも配慮した改修も行っているところです」

広々としたリビング・ダイニング 右奥がキッチン

キッチンから家族の様子をうかがえる間取り

和室を含めてシンプルな雰囲気のため色々な使い方が叶う

寝室などで使える洋室 自然光が差し込み 収納も充分

——リノベーションの内容は、どのように決めてきた?

「改修内容については、まず2023年度に、子育て世帯が暮らしやすい空間や設備を想定したモデル改修を実施し、子育て世帯の方々と意見交換をした上で標準プランを作成しました。

翌年度以降は、この標準プランをもとに指定管理者と相談し、住戸ごとの特性に合わせて改修内容を調整しつつ、実用性を高めながら取り組みを進めています」

改修前の住居写真

こうした状態から、子育て世帯の意見を取り入れたリノベーション企画を行い 改修を進めてきた

——設備面の工夫は?

「家事と育児の負担を減らせるような工夫をさまざまな場所に取り入れています。

例えば洗面台にはシャワー付きのタイプを採用し、朝の身支度だけでなく、上履きやちょっとした洗い物もしやすいようにしました。実際に入居者の方からは『とても便利』という声をいただいています。

玄関には可動棚付きの収納を設け、シューズラックとしてはもちろん、ベビーカーも置けるようにしました。また、窓には子どもの手が届きにくい位置に補助カギを設置するなど、安全面や防犯面にも配慮しています。

そのほか、天候や花粉を気にせず洗濯できる室内物干し設備を設けるなど、日々の暮らしの中で『あってよかった』と感じてもらえる工夫を積み重ねています」

引き出して使えるハンドシャワー付きの洗面化粧台

屋外干しできない時に便利な室内物干し設備

レイアウト自在の可動式玄関収納

お風呂やトイレも新調

段差も少なく小さな子どもも安心

※改修内容は一例です。物件・住戸によって改修内容は異なります。

——入居者の反応は?

「アンケートでは『間取りが良い』という方が多いですね。リビングを広くしているので、『キッチンから子どもを見守れて安心』という回答につながっていると思います。設備面の満足度も高く、特に『シャワー付き洗面台がとても便利!』という声を多数いただいています。また、『家賃を抑えられて、子育てや貯蓄に回せて助かる』という評価もあります」

——住宅以外の周辺環境づくりは?

「まずリノベーションする団地は、周辺環境も考慮したうえで選んでいます。駅や商業施設、公園や学校、病院が近い等、子育てに適したエリアであることを重視しています。

また、共用部を改修する補助金制度も開始しました。例えば「気軽に遊べるキッズスペースを設置したい」「絵本を読めるような集会所にしたい」といった自治会からの要望に補助を行い、子育て環境の向上を図っています」

団地内遊具例(南芦屋浜高層)

洗練された雰囲気の「南芦屋浜高層」外観

取材を終えて

「住みやすい兵庫」の実現に向けて進む、子育て世帯への住まい支援。

県営住宅は、入居者の高齢化や空き住戸などの課題を抱えながらも、リノベーションによって新しい価値を持った住環境へと変化し始めています。

入居しやすく、子育てがしやすい場所へ。
周辺環境も含めて“安心して暮らせる”住まいへ。

実際に訪れた改修住戸は、これまで「家賃は低いけれど、古そう」と思われがちだった県営住宅のイメージを大きく変えるものでした。

動画配信サイトでも「公営住宅のリノベーション」を紹介するコンテンツが目に留まり、「リノベすれば快適に暮らせるかも?」と関心を持つ若い世代が増えているように感じます。
オープンハウスに参加して、実際に見ることで印象が変わり、前向きに検討される方が多いという担当者の話も印象的でした。

こうした住まいが広がることで、若い世帯が安心して子育てに向き合い、地域のコミュニティを育むきっかけにもなりそうです。公営住宅が子育て世帯の力強い味方となり、地域に良い循環が広がっていくことを期待しています。

▽県営住宅の募集状況についてはこちらをご覧ください。
(兵庫県公式サイト)

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks28/wd29_000000011.html

▽住宅取得の補助等の実施状況についてはこちらをご覧ください。
(兵庫県公式サイト)

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks26/r5_kosodate/kentoukai.html