地域を知り、学びを深め、発表する〜県立高校ふるさと共創プロジェクト〜

皆さんは、自分が関わりのある地域のことをどのくらい知っていますか?

「県立高校ふるさと共創プロジェクト」は、高校生が地域資源を学び、まちづくりやビジネスの提案を行うアウトプット型のプロジェクトです。地域との連携の中で、生徒自らが考え発信する機会を創り、ふるさとへの愛着とプライドを育むことを目的としています。

今回は、加古川東高等学校で行われている取り組みをご紹介します。

これまで生徒たちが取り組んできたことを発表する機会がある、ということで よく晴れた日の放課後、学校に伺いました。

この県立高校ふるさと共創プロジェクトは今年度からスタートしましたが、加古川東高等学校では、以前から地域との取り組みを行っています。

普通科、理数科という学科と学年を超えて、興味のある講座を自由に選択できる「STEAM(スチーム)特別講座」や、姉妹校がある台湾の学校との国際共同研究など、すでにある講座の中で“地域と関わる”内容をこの共創プロジェクトと重ねているそう。

今回、その講座を受講している3つのグループが中間発表を行いました。

夏以前からお互いのチームがどんなことを調べ、企画し、進めているのかを一同に発表するのは今回が初めてだそう。

1つ目のグループのテーマは「防災」。

学校がある粟津地区は、“地区防災計画が策定されていない”ということに着目し、計画策定のための提案を行うため、粟津地区の過去の防災記録を調べたり、市役所など関係者へのインタビューを実施しました。

自治会と連携して、自治会長さんと一緒に街歩きをしながら防災マップを作成しました。

2つ目のグループは、漁業と観光を掛け合わせ、姫路の水産資源を利用した観光滞在時間の延長を目的としたプランを発表しました。

姫路市の観光は日帰り中心であることを課題にあげ、外国人観光客をターゲットに、姫路港での漁業体験と姫路城などの都市観光を組み合わせたプランを提案。

3つ目のグループは、「夢そば」体験型観光による移住促進プランの発表でした。

姫路市北部の魅力を発信して定住人口を増加させることで、市全体の人口減少を抑制することを目標に、特産品の「夢そば」を主軸とする観光モデルプランを考案。

いずれのグループも、関連する様々なデータと、地域の関係各所の生の声を拾った上での提案となっていました。

中間発表が終わった後は、他のグループへ質問を投げかけたり、これまでの振り返りを実施しました。

「このグラフって、何でこうなってるん?ここ、ちょっとおかしくない?」

「言いたいことを色々詰め込んだら、すごい量になってまとめるのが難しかった」

「市役所の人たちのリアルな声を聞けたのは良かった。今までもいくつか案はあったけど、なかなか実現できていないらしい。実際に経験してきた方の言葉の重みはやっぱり違うなと思った」

資料作りの反省や地域の方々との関わりの中で感じたことなど、様々な話題が挙がりました。

今回発表した3チームそれぞれの代表者に、個別にお話しを伺いました。

海外に興味があって、台湾研修もあるこのプロジェクトに参加しました。

今回、防災をテーマに選んだのは、地震がある中で他人任せではなく、積極的に地域の防災に関わっていきたいと思ったから。

地学が好きなので、粟津地区の防災マップ作りで自治会長さんと一緒に街歩きをしたのが一番印象に残っています。進めていく中で、世代間での防災意識のギャップが大きいと感じていて。自分一人で地域を動かしていくのは難しいかもしれませんが、今後この地域で何かあれば、自分も参加して、防災の啓発活動を一緒にできたらいいなと思っています。

澤田さん(普通科2年生)

去年も、地域に関わる講座を受講していました。2年目になり、今回新しいチームで進める中で

「自分からこの日までにこれをやってほしい」など他のメンバーと調整するまとめ役になっていたのが大きな変化です。

この観光体験のプランは「夢そば」に決まるまで、少し時間がかかりました。みんなで姫路について調べながらボードに色々書いたりして。実は、いちご狩りという案もあったんです。夢そばの方が母からの反応も良かったので、決まったところがあるかも。母は去年から影ながら色々なアドバイスをくれました。

大変だったことは、他の人に話しをするためにデータやインタビュー内容をまとめて資料に落とし込んでいく作業。部活との両立もあって、友達からは大変そうに見えてたみたい。

だけど、地域に出ることで自分にはない視点をもらえたのがとても良かったです。

藤本さん(普通科2年生)

昔から「問い」を立てて答えを探していく、分析することが好きでした。

今回、関係者の方に考えたプランを見てもらうと“漁業体験は隣の島でもやっているので厳しいんじゃないか”という助言がありました。他の地域との差別化を考えているところですが、アイディアの修正をどう生み出していくかが難しかったです。

今回こんなにもたくさんのデータを集めて、そこから考える、というのは初めてでした。自分の思考のプロセスを育めたのはすごく良かった。今後は、このプランをもっと地域の方や姫路市民の方に見てもらって実際どう感じるかを聞いてみたい。データから読み解けないリアルな声にもっと触れることでより良い、面白いものにできる気がしています。

西本さん(理数科 1年生)

最後に、このプロジェクトを担当された谷口先生にも、プロジェクトを進めていく上で意識したことなどを伺いました。

「生徒の前では、基本的にファシリテーターに徹することを意識しています。僕が先回りして何かをするのではなく、生徒にどうしたいかを聞いて、それから一緒に考えるようにしていますね」

「地域の方々もとても協力的で、喜んでくださっていて。生徒はこのプロジェクトを通して、“外に出る”ということが怖くなくなったように感じています。学校、家族以外の大人と接していく貴重な機会になっています」

今の時代だからこそできる「データを活用する」こと。そしてデータからは読み解けない「地域の方と対話する」こと。

どちらにも向き合いながら、一人一人が主体的に考え、一つの企画をチームで作り上げ、地域に提案、還元していく様子を知ることができました。

今後は、学内での発表に加えて、学外やコンテストへの出場など、多くの方々に向けてプレゼンテーションする機会が増えていくそうです。今回発表したプランの実現も近いかもしれません。

県立高校ふるさと共創プロジェクト

https://www2.hyogo-c.ed.jp/hpe/koko/miryoku/furusatokyousou

取材先:加古川東高等学校

https://www.hyogo-c.ed.jp/~kakohigashi-hs