「夢をあきらめず 学びたい」~県立大学無償化が広げる未来~
「大学に行きたい。でもお金のことが心配で…」——そんな声は、決して少なくありません。実際、日本の学生の約3人に1人が奨学金を借り、その平均借入額は300万円以上にも。多くの若者が、卒業後に返済を背負いながら社会に踏み出しています。その負担は、結婚や出産、子育てといった人生の選択にまで影響を及ぼしています。
こうした現状を踏まえて兵庫県では、高等教育の負担軽減として、県立大学の入学金と授業料を無償化する制度を2024年度より開始しました。対象となるのは、兵庫県立大学と芸術文化観光専門職大学に進学する県内在住者。大学院も含めて無償とする、全国的にも数少ない取組みについて紹介します。
◆ 県立大学無償化のポイント
- 約1/3の学生が奨学金を利用&平均借入額は三百万円を超え、返済に苦慮している状況
- 本制度の対象は県内在住者:所得制限なく入学金・授業料を全額免除
- 大学院生も含むため、学びを継続し専門性を深めたい学生を後押し

9つのキャンパスに6学部、多数の研究科・研究所等を擁する兵庫県立大学。写真は神戸商科キャンパス
担当する県教育課に現在の状況をうかがいました。
——制度開始の手応えは?
「2024年度から開始し現在2年目ですが、効果が表れ始めています。
少子化の流れがある中で、県立大学の志願者数は高い水準で推移。県内生の割合も伸びていて、2025年度に入学した学生の約65%と、2年前と比較して1割近く上昇しています。
対象の学生に行ったアンケートでは、
『大学進学を諦めずに済んだ』
『アルバイト負担を減らせて、学業に専念できた』
『その分 公務員講座の受講料に充てられ、就職活動につながった』
といった声が寄せられています。
また、大学院の無償化についても、
『大学院進学を親に相談しづらかった中、助かった』
『将来の選択肢が大幅に増えた』
と、この制度が金銭面の不安解消にくわえて、学びの充実と意欲の向上、さらには若者たちの将来設計につながっているのを感じています」
——海外や他都道府県での高等教育の負担軽減策は?
「国際的な潮流としては、ヨーロッパをはじめ国公立大学の無償化が一般化してきています。一方日本では、国からの支援があるものの対象や規模は限定的で、完全無償化を実施しているのは東京都と大阪府のみという状況です。
兵庫県においては、『兵庫で育ち、兵庫で学び、兵庫で活躍する』——そんな未来を見据えて、先駆けて無償化に挑戦しているところです。今後、制度の効果をさまざまな角度から検証し改善しながら、県としての取り組みを進めていきます」

神戸の学術文化拠点「学園都市」にある神戸商科キャンパス。豊かな緑に囲まれながら、国際交流センターや情報科学研究棟など最新鋭の環境で学ぶことができる。
——奨学金を抱える若者へのサポートは?
「兵庫県では、県立大以外の大学を含め卒業後の支援に力を入れています。
奨学金返済を支援する県内の中小企業とその従業員への補助として、2024年度から補助期間を最大17年に延長し、対象者年齢を40歳未満まで広げました。伴って、返済支援を行う企業数も、対象者も増えています。
若者の負担軽減と中小企業の人材確保を両立させるとともに、地域産業の活性化につなげていきたいと考えています」
——
取材を終えて
兵庫県が力を注ぐ、若者の「人生の選択肢」を広げ、活躍していける環境づくり。
「希望する教育を受けられ、自身の将来を豊かに描けるように。
その支援が、結果的に企業や地域への貢献という好循環につながるように」
こうした広い視野と長期的な視点で構想された取り組みの現場に触れ、県が若者の教育と未来を真剣に支えていることを強く実感しました。
学ぶことを諦めなかった若者たちが、これから社会で夢を形にし、活躍していく未来を期待したいと思います。
▽県立大学については公式サイトをご覧ください。
兵庫県立大学
芸術文化観光専門職大学


